儲けて破産した者はない
格言解説
森鴎外の「高瀬舟」という小説に次のような一節がある。
庄兵衞は只漠然と、人の一生といふやうな事を思つて見た。人は身に病があると、此病がなかつたらと思ふ。其日其日の食がないと、食つて行かれたらと思ふ。萬一の時に備へる蓄がないと、少しでも蓄があつたらと思ふ。蓄があつても、又其蓄がもつと多かつたらと思ふ。此の如くに先から先へと考へて見れば、人はどこまで往つて踏み止まることが出來るものやら分からない。
投資家の心情も同じで、いま売ると10万円の利益になる株をもっていると、もっと上がるかも知れない、こんなところで売るのは勿体無いと思うようになる。ましてやそれが何かの悪材料が出て5万円の利益に減ってしまうと、一度高いところを見てしまっているだけに、尚更売れなくなる。そのうち利益が無くなり、やがてマイナスに・・・ よくあるパターンです。
「儲けて破産した者はない」という格言は、己の分をわきまえて、あまり欲張りなさんなと言うことです。
類似格言
・利食い千人力
・利食いに迷わず半手仕舞
・利食い極楽、損地獄は背中合わせ
・腹八分目に医者いらず
反対格言
相場格言TOPに戻る