プロスペクト理論、分散投資、シャープ・レシオの解説。

株の豆知識



プロスペクト理論


あなたは、下記のような状況になったら、どちらを選択しますか?

問一
1 確実に100万円を得られる。
2 85%の確率で150万円貰えるが、15%の確率で何も得られない。

問二
3 確実に100万円損する。
4 85%の確率で150万円損するが、15%の確率で何も損しない。


実験では殆どの人が1と4を選択してしまいます。これは間違いとは言わないが、株式投資に置き換えて考えると、あまり良い選択とはいえません。

問一は、あなたの買っている株に100万円利益が乗っていると考えてください。業績は順調、チャートも綺麗に上昇カーブを描いている。85%の確率で150万円まで行くのですが、100万円で利益を確定してしまったのです。(利喰いが早い)

問二は、あなたの持っている株が、100万円の含み損を抱えていると考えましょう。85%の確率で、150万円まで損失が拡大するのに、15%の確率(買値に戻る)の方に賭けてしまう。(損切りが遅い)

プロスペクト理論とは一言でいえば、得の領域では低い確率を高く見積もり、損の領域では高い確率を低く見積もることで、損失を利益より過大に見積もってしまう人間の行動パターンです。要するに人間は、リスクを嫌うあまり【損しやすくできている】ということですね。


分散投資はなぜ有利?


経済番組や雑誌などによく出てくる言葉で、皆さんもご存知かと思います。でもなぜ分散投資がリスクを軽減出来るのかを、数学的に説明できる人はあまりいないと思います。では、簡単に例を使って説明します。2社にあなたが新規に投資したとします。A産業の株を1000株500万円、ボラティリティーが±20%だとすると最大ドローダウン(損失)100万円ですね。B電気を1000株800万円これもボラティリティーが±20%だとすると最大ドローダウンは160万円です。では問題です。この2社に相関関係が無いとすると、最大リスクはいくらになるでしょう?

答えは260万円ではありませんよ。答えは189万円です.。両者が常に同じ動きをする(相関係数が1)ならば、答えはリスクを足し算して260万円ですが、相関関係が無い場合、単純な足し算ではリスクの過大評価になります。この場合の計算は、リスクの二乗を足した合計の平方根を計算すればよいのです。A産業(100万×100万)+B電気(160万×160万)の√で189万円になるのです。どうです? 71万もリスクがへりました。これが分散投資の威力なのです。

分かってると思いますが、例えば日立と東芝とか、東京電力と関西電力という組み合わせで買っても分散投資にはなりませんよね。なぜなら両者はほぼ相関係数が1だからです。

シャープレシオ


上の話からこのポートフォリオのリスクは189万円です。期待収益はどんな場合でも足し算していいので260万円です。シャープレシオの計算は、期待収益をリスクで割ればよいのです。260万円÷189万円=1.37になります。株式だけのポートフォリオでは、ちょっと無理があるのですが、シャープレシオは1以上あれば良いとされています。分散投資で相関関係の無い銘柄を組み合わせたことで、超過利潤率はリスクの1.37倍あると言うことです。上記のことから、このような組み合わせを複数見つけることにより、シャープレシオは2以上になり理論上まず損がでる可能性が無くなっていくのです。

まあ、古典的な投資戦略ですが、リスクは√でしか成長いないのに、収益は足し算で成長するのです。実際はこんなに上手くいきませんが。



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