ナンピン太郎と損切り次郎
ナンピン太郎 物語
むかしむかし、あるところにナンピン太郎という自称株の名人がおったそうな。彼の成績はそれは素晴らしいものじゃった。なんと99戦して99勝0敗、勝率100%だった。100戦目に選んだ株はN電気。今度も楽勝に思えた。
ナンピン太郎は、950円で5,000株買った。
「こんども楽勝だ! 株なんて馬鹿でも儲かる」
終値930円 平均買付け額:950円 5,000株 含み損-100,000円
「クソ~ 下がったか、まぁ予定通りだ 900円で5,000株ナンピンしよう! 損切りなんてとんでもない。そんなことは臆病者のすることさ」
終値890円 平均買付け額:925円 10,000株 含み損-350,000円
「マジかよ~ なんでこんなに下がるの? でもそのうちいつものように騰がるだろう 損のまま売れるか! 800円で10,000株ナンピンだ」
終値800円 平均買付け額:862.5円 20,000株 含み損-1,250,000円
「うっ嘘だろ~ もう頭にきた! 幾らなんでも今度は底値だろう、男は勝負だ! 750円でもう10,000株ナンピンだ」
終値730円 平均買付け額:825円 30,000株 含み損-2,850,000円
「ほらやっぱりね。下げ止まってきた♪ ここは勝負に出るべきだろう。現物を担保に信用取引で30,000株、750円で買い増しだ!」
終値750円 平均買付け額:787.5円 60,000株 含み損-2,250,000円
ナンピン太郎の思惑は完全に外れた。下げ止まったかに見えたN電気は翌日大きく下落した。「もうナンピンするお金もない。どうすれば良いのだろう? 食欲もなくなって仕事も手につかない。もう神に祈るしかない明日は上げてくれ!」
終値690円 平均買付け額:787.5円 60,000株 含み損-5,730,000円
現実は厳しいものだ。N電気は翌日業績の大幅下方修正を発表しストップ安となった。「今日は会社を休んだ。変な汗が出てきて夜も眠れなくなった。連戦連勝だった俺が、なんでこんなことになったのだろう・・・」
終値590円 平均買付け額:787.5円 60,000株 含み損-11,850,000円
その後もN電気は低迷を続け、追い証に耐えられなくなったナンピン太郎は520円で全株を処分せざる得なかった。最終的な損失は-16,050,000円になり、ナンピン太郎は株を引退した。生涯成績は99勝1敗。
損切り次郎 物語
むかしむかし、あるところに損切り次郎という株の下手な人がおったそうな。彼の成績はそれは酷いものじゃった。なんと99戦して0勝99敗、勝率0%だった。しかし、こまめに損切りをしていたので、損失額はたいしたことはなかった。そんな中で100戦目に買った株が大当たりして、ロスカットラインに一回も達することなく、力強く上昇を続けた。途中何度か買い増しをして、最終的に大きな利益を手にした。今までの損失を軽くカバーして、尚且つ1千万円の利益が残った。成績1勝99敗
損切り次郎は今も楽しく株を続けている。
この二つ物語はフィクションであるが、これに近いことは実際に起こっているのである。
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