受身を覚える/フォームの大切さ

今週の独り言


受身を覚える 2006年2月22日

今週の独り言の更新を随分さぼってきました。今年の独り言に変えた方がいいかも知れませんね。

お詫びと言ってはなんですが、今回は私の恥ずかしい昔話をしようと思います。今を遡ること数十年前、私の中学時代の話になります。

今もやっているのかは知りませんが、私の通っていた中学では、冬になると男子の体育は柔道をやることになっていました。当時、ちょっと不良で腕力に自信があった私は、人を投げ飛ばすのが嬉しく、また勝手に強いと思い込んでいました。そんな時、私の目に留まったのが同じクラスのK君でした。彼は体格はいいものの、普段はおとなしい性格で、気にもとめていなかったのですが、なぜか柔道がやたらに強いのです。当然、私としては面白くない訳で、ある日、どちらが強いか白黒つけようじゃないかと、彼を挑発し、教師がいなくなった隙に試合をやりました。
柔道
後で分かったことなんですが、彼は都大会でも常に上位に入賞する実力者で、過去に2人を病院送りにしている、とんでもない奴でした。腕力に自信があっても柔道に関しては、ど素人の私が勝てる相手ではありません。組んでから30秒もしないうちに強烈な背負い投げをくらいました。いままで人を投げることはあっても、本格的に投げられた経験のない私は、受身も知りませでした。とにかく無様に投げられたくないと言う一心で、投げられながら咄嗟に手のひらを畳につきました。しかし、その衝撃で左肘をかなり複雑に骨折してしまいました。左肘を伸ばすと、いまだに変な音がしますから、かなり重症だったのかも知れません。

なんでこんな無様な話をしたかと言うと、トレードと共通点が沢山あるからです。

①相手を投げることばかり考え、自分が投げれることを考えていなかった。
儲けることばかり考え、自分が負けることを考えていない、リスク管理が欠如した投資家

②相手に投げられたとき受身を知らなかった。
ヘッジや損切りが出来ない投資家

③無様に投げられたくない為に、悪あがきをし大怪我をした。
負けを認めず、ナンピンをして大怪我をする投資家

マーケットと言うのは、常に自分より強い存在なわけですから、負けるのは当たり前です。投げられた時は、素直に負ければ良いのです。ただ受身を知らなかったり、下手に悪あがきをすると、以前の私のように大怪我をします。投資家がまず学ぶべきなのは、柔道と同じで、相手を投げること(儲けること)ではなく、受身を覚えることだと思います。




フォームの大切さ 2005年7月25日

昭和39年5月5日、後楽園球場で広島の白石監督が王シフトを始めて行った。周知の通り、これは野手を右方向へ移動させることにより、引っ張った打球が多かった王の打球を捕るのが目的だが、白石監督の本当の狙いはガラ空き状態の左翼方向を王に狙わせることで、王のフォームを崩しスランプに落とし入れる作戦であったと言われている。しかし、王は決してフォームを変えなかった、流し打ちをすれば、凡フライでも、ボテボテの当たりでも確実にヒットになり、打率は簡単に稼げただろう、勿論、王に流し打ちの技術が無かったわけでもない。王は自分のフォームを崩すことが、長い目でみれば、マイナスになることを知っていたから、自分のフォームにこだわって引っ張りを続けた訳だ。
王シフト
これは株でも同じで、少しスランプになると自分の投資法を変えたり、違う投資商品に鞍替えする人がいるが、これは王選手が流し打ちをして打率を稼ぐようなもので、短期的に多少それで儲かったとしても、自分のフォームを崩した代償は長期的にみれば、何倍にもなって必ず払わされるものだ。逆に調子が良すぎてフォームを崩してしまうことも同意である。自分のフォームを崩さないと言うのは勝負の世界では重要な要素だが、言うは易し行うは難しでもある。