損切りとプライド/バランス感覚

今週の独り言




損切りとプライド 2004年3月4日

人間誰もが自分は正しいと思って生きています。どう言い繕ったところでこの事実は変わりません。自分の間違いを認めると言う行為は、ある意味、自己否定に繋がることでもあり、なかなか受け入れがたい行為です。株を損切りする場合は、それにプラスして間違いの代償として、金を差し出さなければならないのですから、なおさら難しいのでしょう。株で大損する人は、自分の間違いを認めずナンピンを重ねる人と昔から相場が決まっています。公務員や大手企業で長年管理職をやってた人が定年後、株を始めて退職金を無くしてしまうケースなどが多いのは、なにおかいわんやです。

林輝太郎氏の本で、口の悪い相場師が「てめー独りで相場やってるんじゃ ねぇーんだよ」と言うくだりがありますが、これなんか実に的を得た良い言葉だと思います。この意味が分からない人は何年やっても株では勝てないんじゃないでしょうか。



目に見えない疲れ? 2004年2月4日

競馬ではよく断トツの一番人気の馬が凡走することがあります。状態、調教も申し分なく相手関係も有利。それでも簡単に負けてしまう。ビキナーのころ私はこの現象に何度も直面し唖然とした。でもそれ以上に唖然とさせられたのは、後日発表される調教師のコメント(言い訳)でした。競馬好きの人なら誰でも知ってる「馬に目に見えない疲れがあった」という言葉です。なんとも日本人に受けそうな曖昧な表現。そして妙に納得させられてしまう凄い言葉です。最初はこの言葉を聞くたびに腹が立ちましたが、何回も聞かされるうちに洗脳されてしまい、私も遂に「そうか、目に見えない疲れがあったのか~ だったら仕方ないなぁ」と納得させられていました(笑) 

結局私は10年以上、この目に見えない疲れと戦い、競馬では勝ち組に入れず引退しました。まぁそんなことはどうでもいいのですが、このHPは現役証券マンの方も見ているようなので、私からアドバイスします。自分が勧めた株が下がりお客様が怒ってきたら、眉間にシワを寄せ「○○銘柄には目に見えない疲れがあったようですね」と答えると良いでしょう。その人が競馬を知ってる方ならきっと納得すると思います。そうでなければたぶん殴られるでしょうね(笑)



バランス感覚 2004年1月24日

景気が悪い現在、清貧思想や倹約、節約を謳ったテレビ番組や本が持てはやされています。しかし、このようなものを見るにつけ少し疑問に思うこともあります。物や金を大切に使うことには異論はありませんが、生活に潤いが無くなるほど食費や光熱費を節約して、一方で携帯電話費や娯楽費には無頓着そんな人も結構いますよね。まぁその人の価値観の違いと言ってしまえばそれまでですが、やってることは殆ど無意味とも言えます。株式投資で言えば配当や優待目当で株を買って逆にその何倍も損をしている人と言ったところでしょうか。

企業でもメモ用紙は裏まで使え、昼休みはパソコンや蛍光灯の電源を切れ等いろいろと経費削減を行い勝手に自己満足しているようですが、まぁこのようなことを五月蝿く言う会社に限って、なんの生産性も無い管理職を窓際に大勢並べているものです。もっとマクロで見れば生産性を上げ懸命にコスト削減したにも関わらず、為替予約を怠りその何十倍も損をしている上場会社などもあります。こんなのは正にバランス感覚を欠いているとしか思えません。

節約は決して悪いことでは無いが、バランス感覚を欠いて結果的に本末転倒となっている場合が多い。私は個人的には1万円節約するより、収入を1万円多く増やすことに労力を使いますね。その方が前向きですし楽しいですから。




投資法 2004年1月13日

よく投資法に関して長期投資が良くて短期は駄目とか、グロース(成長株)は良くてバリュー(割安株)は駄目とか断定的にものを言う人がいますが、あれは一体なんなんですかね。なんか変な宗教にでも嵌っているんじゃないだろうかと思うときがあります。少なくとも自分で全ての投資法を試してから言って欲しいものです。私も最近では短期取引が多くなってしまいましたが、もともとは典型的なバリューで中長期の投資家でした。そこで今回はバリュー(割安株)投資について書いてみたいと思います。

バリュー株投資の基本的発想は、通常の株価循環において本来その企業が持っている本源的価値以下で売られている銘柄を見つけその乖離を取ることだと思っています。そもそもこの様なことが可能なのは簡単に言ってしまえば、市場価格と言うものは企業の実態価値を反映していないからです。もっとも実態価値が常に反映されていれば価格変動などは起こりませんがね。

単に需給関係だけで上昇している株は投資の対象などではなく投機の対象です。別に私は投資が良くて投機が悪いなどと言うつもりはありません。儲かればどちらでも良いのですから・・・ ただ投資と投機の区別がつかない人が多いのにはビックリします。現在もある商品の値段が上がり株価もつれて上昇してますが、これなどは典型的な需給相場です。特定の商品が永遠に上がり続けることなどは絶対にありません。儲かる物には次々に他社も参入してきますから、結局時間がたてば今度は作り過ぎて商品も株価も急落と言うのがお決まりのパターンです。それは何より歴史が証明しています。

バリュー(割安株)投資がいまだ無くならないのは、それなりの有効性があるからです。一見効率的なマーケットですが歪みは必ずあり、それを利用するのも面白いものです。時間はかかりますが。



果たして正しいのか 2004年1月6日

アメリカに台頭してきた「ネオコン」(新保守主義)と言うものを今日は考えてみたいと思います。ネオコンと言う言葉に正確な定義があるのかは不明ですが、簡単に言ってしまえばアメリカ至上主義と言ったところではないでしょうか。そして現在ブッシュ政権中枢はタカ派のラムズフェルド・チェイニーを筆頭にネオコンと言われる人達で占められています。

このネオコンと言う人達の思想を私なりにまとめると、正義は己(アメリカ)だけにあり、自分たちと同じ考え精神を持っているのが人間であり、自分たちと少しでも違えば獣であり、同時にそれを犠牲にする権利があり、また犠牲にならなければならない。こんなところでしょうか。

彼らの本質は手法こそ違えど、フセイン、ビン・ラディンと殆ど同じです。断っておきますが私はアメリカと言う国は好きですし、テロリストを擁護するつもりなど毛頭ありません。ただこのネオコンと呼ばれる人間たちの最終目標がどこにあるのか、また日本が盲目的に現在のアメリカに追随して自衛隊まで派遣するのが果たして正しいことなのかと考えずにはいられません。

ある人は北朝鮮の脅威を考えれば仕方がないと言うかも知れないが、ネオコンの本質を考えたとき、日本を必ず防衛してくれる保障などどこにあるのだろうか? そのような安易な考え方そのものが私は恐ろしい。現在進行していることの善悪を考えるのは難しいことですが、100年後歴史を振り返ったとき、初めてその善悪が判るのでしょう。あの時のアメリカは正しかった。あの時のアメリカは狂っていた。果たしてどちらになるのか? 個人的には後者になるような気がしますが・・・