ROE(株主資本利益率)の見方と問題点

ROE(株主資本利益率)の見方


ROE(Return On Equity)リターン・オン・エクイティとは、企業が株主から集めた資金をどれだけ効率的に使っているかを表す指標です。

ROEは高いほど良いですが、それによって株価の割高・割安を判断するものではありません。株主資本(株主持分)に対して、どれだけ効率的に経営ができているかを見るためのものです。投資家にとってROEが高い会社は、投資利回りが良い会社といえます。



計算式
ROE=当期純利益÷株主資本×100
当期純利益というのは、経常利益から特別損益を+-して、税引前利益を出し、そこから法人税や住民税などを引いた利益のことです。つまりこの当期純利益が増加すると株主持分の増加にもなるのです。
貸借対照表:ROEは株主資本が少ないと高くなる
ポイント
・ROEの目安は10を基準として考え、10以上ならかなり優秀といえます。

・ROEが高い企業ほど資本効率が高く、投資家にとって魅力的な会社といえます。ただし、株主資本が少ない会社が利益を出すとROEが異常に高くなってしまうでの注意が必要です。つまりROEは借金を増やすことでも上がってしまうのです。(お金をどこから調達したかでROEは変わってしまう) 最近、アメリカの影響なのか、企業も評論家もROE重視の傾向が強まっていますが、借金を増やすことで改善する財務指標はROEだけということも頭に入れておきましょう。

例を上げると、当期純利益が100万円のA社・B社があるとします。

A社は負債ゼロで株主資本が2000万円 ROE=100÷2000で5%

B社は負債1000万で株主資本が1000万円 ROE=100÷1000で10%

日本の優良企業の多くは、利益余剰金を資本に蓄積していますから、分母が大きくなり、A社のようにROEを押し下げてしまう傾向にあります。こういうことも知らずに、ROEの高い低いだけで会社を分析しても意味はありません。

・ROEが改善しても会社が良くなっているとは限らない。

・ROEが高く、自己(株主)資本比率も高い会社が理想です。



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